宮地重遠(海洋バイオテクノロジー研究所)
(1993年8月/第2回マリンバイオテクノロジー研究会
機関誌より引用)
上昇し続ける大気中のCO2濃度、オゾンホールの生成など地球環境の変化と海洋の関係が近年注目され、更には、海洋生物によるこれらの修復が期待されている。また、海洋流出油、富栄養化など劣化しつつある海洋環境の改善にマリンバイオテクノロジーがどの様に対応しうるかが、注目されつつある。この様な情勢を反映して、本研究発表会では、“微細藻類によるCO2固定”、“石油分解”、“付着機構の生理機構とその防除”、“極限環境微生物”など地球環境及び、その修復に関するシンポジウムが数多く企画された。これらのシンポジウムの多くは、同時に開かれたため、参加者は、これらのごく一部しか聞くことが出来ない状況にあった。この様な状態と、地球環境の修復に対するマリンバイオテクノロジーへの期待を考慮して、本シンポジウムが企画された。
演者には、各シンポジウムの座長または、主スピーカーの方にお願いすることとし、東大分生研都筑氏がCO2問題、海洋科学センターの加藤氏が深海微生物、海洋バイオ研の原山氏と紺屋氏がそれぞれ海洋流出油対策と付着防御について話され、この外に、海洋バイオ研の荒井氏に紫外線問題について話題提供していただき、最後に東大先端研軽部氏によるマリンバイオテクノロジーは、地球環境へどの様に貢献出来るかという話題でしめくくっていただいた。この外、中国工試の布施氏らと東大農学部の大森氏による海洋微生物による硫化メチルの酸化に関する発表もあった。
何れも地球環境とマリンバイオテクノロジーに関する重要な研究領域であり、発表会の討論も活発に行われた。その中でも小生には、CO2問題に関する都筑氏の地味ではあるが、深い考察、 原山氏のカテコール酸素添加酵素に関するダイナミックな研究に最も興味をそそられた。また、加藤氏による深海6500による微生物探索に関するスライドとお話は、多くの聴衆に多大のインパクトを与えた。


